明日からどう働くのか、どう働いてもらうのか?
忙しく働く日々が続くと、つい目先のことばかり考えてしまいがちになりがちです。けれど、ときには身の回りをみわたしてみませんか?ニュースで報じられる出来事に心が反応したとき、それを少し掘り下げてみてはどうでしょう。
「こんな状況はおかしいのではないだろうか?」と感じることは、あなたと社会の繋がりのかたちを浮き彫りにするかもしれません。

残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)
- 作者: 中原淳,パーソル総合研究所
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/12/12
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る
残業や働き方の問題は、ビジネスパーソンにとっていちばん身近な社会問題かもしれない。
2016年に起こった「電通過労死事件」に胸を痛めた方も多いのではないだろうか。
「ノー残業デー」など長時間労働を抑制する方策を企業が推進しても、なかなか残業や深夜労働が無くならないのはなぜでしょう。
近年「働き方改革」が叫ばれています。実際パソコンの強制シャットダウンなどの施策を実行している企業もあるようですが、一方で現場の実情を顧みないトップダウンの人事施策ばかり実施され、現場に「やらされムード」が漂っている企業もまた多いのではないでしょうか?
そもそもなぜ、日本には長時間労働の習慣があるのか?
どんな歴史をへて、長時間労働が当たり前の社会になってしまったのか?
残業はなぜ無くならないのか?長時間労働に従事している人は、なにを思っているのか?これらの問いには個人の経験談だけではなく、データとエビデンスをもとに、構造的な面から検討されなければならない。
どうすれば、会社も働く個人も「希望」を感じれる働き方を実現できるのか。少子高齢化の日本においてどうすれば働き手を確保できるのか。それを考えるきっかけにしたい本である。
なぜ「働き方改革」が必要なのか?
働く人=長時間労働が可能な人?
残業や長時間労働は昔からあった問題である。ではなぜ、今、これほど注目を集めているのだろうか?
その背景には、少子高齢化がある。高齢化した社会を支えていくには、働き手を増やさなければならないが、「長時間労働」がその障壁となっている。長時間労働の習慣をなくさない限り、長時間労働が可能な人しか働くことしか出来ない世の中になっている。
つまり共働きの夫婦、外国人労働者、高齢者などの「長時間労働が出来ない人」が働けなくなってしまう。
働き手不足の日本社会を、運営していくためには長時間労働が当たり前という風潮をなくし、一人ひとりのニーズに合った働き方を選べるようにしなければならない。残業は今すぐに、改善しなければならない課題である。
長時間労働の弊害は、労働力が低下するだけではない。過労死や労働生産性の低下などとも密接に結びついている。今すぐにでも改善に着手しなくてはならない課題である。