「所有から利用へ」モノを持つことに拘らない人が増えている!
最近みなさんの周りでも製品やサービスを一定期間、定額で提供する「サブスクリプション(サブスク)」のビジネスが広がってきているのではないでしょうか?
例えばAmazonプライム・ビデオ会員になると(商品を買った時のサービスに加えて音楽やビデオなどが一定期間無料で使えたり)、U-NEXT(アプリの1つで映画、ドラマ、アニメなどがトライアル期間は無料で利用できる。トライアルが終了後は毎月一定額を支払えば継続的に利用できる)同じようなサービスに、Netflix(ネットフリックス)、Apple.TVなどもある。
このように定額制料金でサービスを提供するビジネスモデルが全世界でブームになっている。
これによりモノを持つことに拘らない人が急増して「所有から利用へ」と変わりつつある消費行動が急増し、「売り切り型」の商品販売を進めてきた企業が、ビジネスモデルの見直しを迫られる事態にまで発展している。
■「サブスクリプションってなに?」
「定期購読」を意味する英語で、利用期間に応じた料金を受け取り、継続的にサービスや製品を提供するビジネスを指す」
古くから存在する新聞や雑誌の定期購読もその1つ。利用者は毎回買う手間が省け、企業は安定した収益が得られる。近年は情報技術(I T)を駆使して利用頻度や好みなどのデータを分析して、個々の顧客に合ったサービスを提供する企業も多い。
■新規開拓
サブスクは定額料金が継続して支払われ、企業は安定した収益が見込める。
顧客も初期費用の大きさから購入をためらっていた商品を、手頃な価格で利用できる。
ベビー用品メーカー、アパレル大手企業、大手メガネ販売チェーン、電化製品販売店、大手英国家電メーカー、日本の大手電機メーカーなどサブスクリプション旋風はとどまるところを知らない。
火付け役となったのは、音楽や映画、ゲームソフトなどを提供する配信サービス!
作品さえ制作すれば生産や配送の手間がかからない。コンテンツ(情報内容)の品揃えや配信が増えても、追加費用がほとんど発生しない点が、多数の顧客に継続利用してもらうビジネス特性にピッタリはまった。米国では動画配信サービスのネットフリックスやH ulu(フールー)、音楽配信サービスのSpotify(スポティファイ)などが先導して、2010年頃から企業の参入が急増した。
日本でも数年前からブームが続いている。市場調査会社によると、国内の2018年度のサブスク市場は5627億円。利用者の拡大で、2023年度には1.5倍の8623億円に膨らむと試算している。
急成長を見込むのは、消費者意識の変化が大きい。自由に使える可処分所得のうち、消費支出に回す割合の低下が若年層で目立つ。
節約意識が強まり、モノの購入意欲が薄れている。
■自動車メーカーも
トヨタ自動車は今年2月、車の定額利用サービス「KINTO」(キント)を始めた。
月額18万円(税抜き)の料金で「レクサス」ブランドの高級車に乗れる。新車販売との競合も懸念されたが、若者を中心とした車離れへの危機感が背中を押した。
ある自動車メーカー関係者は「最大手のトヨタですら、サブスクに乗り出すのは、業界全体に危機感が広がっている証拠だ」と話す。
■リースより制限なく
自動車や衣料品、バックなどを定額で利用できるサブスクリプションは、既存のレンタルやリースと何処が違うのか?
例えば自動車の場合、レンタル(レンタカー)やカーシェアリングは毎回予約して、車の保管場所に出向く必要がある。また利用時間が長ければ長いほど料金が高くなる。リースは数年程度の長期契約が主流で料金も定額だが、通常は別の車への乗り換えを認めていない。
これに対してサブスクは、利用頻度に関係ない定額課金が特徴で、ほかの車種にも乗り換えられるのが一般的だ。BMWやメルセデス・ベンツといった海外メーカーが先行していたが、日本でもトヨタ自動車が追随した。