南岳小屋へ向かって歩きだすと、まず最初に見えて来るのは大喰岳(3101m)が迫って来る。荒々しいギザギザに尖った感じではなくて丸みを帯びたどっしりとした構えに見えて緊張感はあまり無く歩けた。
振り返ると、先程までいた槍ヶ岳山頂(3180m)が見えている。少し不思議な感覚に囚われたけど、また前を向いて歩く🚶♂️次に姿を現したのは中岳(3084m)山頂手前で鎖場があり、先程の大喰岳よりは少し険しい雰囲気を出しているが、こちらも特に危険な箇所は無かった。
中岳山頂を超えてからは、平坦な気持ちの良い縦走路を歩いて行く。周りの景色を見ながら時折写真に収めて行く、天気も良く本当に気持ちいい稜線歩きになった。
槍ヶ岳を出発してから2時間ほど経った。そろそろ南岳(3033m)が見えて来るはずである。そう思っていると案内板が立っているのが見えて来た。すぐに南岳が目の前に現れて山頂にたどり着いた。周りに他の登山者は見当たらない。こんな時のために持って来たミニ三脚(100均で購入)を使って写真を撮る。
南岳山頂からしばらく下って行くと、南岳小屋が見えて来た。槍ヶ岳を出発してからちょうど2時間と少しくらいである。宿泊していた登山者はほとんどがすでに出発している時間なので、誰も見当たらない。スタッフの方が布団を干したり、食堂の掃除などをされていたので、声をかけて水を購入した(稜線上にある山小屋の水は雪解け水や雨水を、コツコツと溜めた水で貴重である)
ここで水(有料1ℓで200円)を補充して(槍ヶ岳を出発する時に水は2ℓをハイドレーションシステムに入れて来たがザックを降ろして水の量を調べてみると残り1ℓになっていた。2時間で1ℓ飲んだ計算になる。(常に自分が飲んでいる水の量は計算した方が良い、次の補充ポイントまでの行動時間を計算して足りなくならないようにする)少し休憩する。
行動食のナッツを食べてエネルギーを補充してから、いよいよ大キレットと北穂高岳に向かって歩きだすと、切り立った巨大な岩の塊のような山が現れて来た。まるでロールプレイングゲームに出て来るボスキャラのような感じで(どこからか、これから始まる戦闘の音楽が聞こえてきたような気がして)少し緊張して来た。
先程までとは、打って変わって緊張感の連続する稜線歩きになって来た。改めて気を引き締めて歩いて行くと 長谷川ピークと呼ばれる難所に到達した。一瞬どうやって進むのかわからなくなったが、道しるべのマークと鎖場や足場が作ってあるので、それを利用して進んで行くと、気がついた時には難所と呼ばれている場所を越えてしまっていた。
もう少し落ち着いてルートファインディング(自分が進む道を見極める力)できるようにならないといけない。(突然の変化にも冷静に判断して行動できないと事故を起こしてしまったりする)ここらへんが今後の私の課題である。でも程よく緊張感を感じるルートだったのですごく楽しめました。😁
しかし、他の登山者の姿はほとんど見えない。道は一本道なので迷いこむ事は無いが、やはり一人で進んで行くと少し不安な気持ちはあるので、(A沢のコル)と呼ばれる谷底に着いた時に休憩することにした。しばらく休憩して誰かが来るのを待つ事にする。
さて、ここからは北穂高岳の山頂までひたすらに岩登りで(ロッククライマーの要素が大きい)登る事になる。見上げると山頂が見えないほどの巨大な岩の壁がある。(一撃必殺のような呪文があれば唱えたい😭)そんな事を考えていると一人の登山者がやって来た。50代後半の男性である。(勇者Aと勝手に名付けた)
私から声をかけて話をすると、このルートを登るのは初めてだと言う。ちょうど良いこれなら一緒に登れるかもしれないと感じ、急いでザックを背負って出発すると、なんと!あっという間に登って行くでは無いか😳😳😳(待ってくれ〜勇者様〜)
え〜〜めちゃくちゃ速いじゃん。(さすが勇者様だ〜って違うよ関心してる場合じゃ無い)本当に初めて登るのか⁇ かなりの傾斜の岩の壁である。目印はあるが岩と岩を3点支持(必ず体を支える場合は両手、両脚の内3つは岩にしっかりと接触している状態で体重を支える)を使って登らないと上がれない岩場である。ダメだ〜(待ってくれ〜勇者様〜見捨てないで〜)まったくついて行けない。もう遥か上の方まで登って行ってしまった。( チッ 偽物勇者め〜)
仕方がない一人で慎重に登ろう!ここが(飛騨なき)と呼ばれる難所なのか?と考えながらひたすら岩登りをする。
1時間以上経ったが山頂にあるはずの北穂高の山小屋の姿も見え無い。かなり疲れてきて登るペースが遅くなる。少し休んでいると下の方から話声が聞こえるではないか? やった〜誰か来たぞ😀 見ると男女ペアの2人組(見た感じ40代後半)で凄いペースで上がって来た。(大剣豪と超魔法使い、と名付けた)
また私から声をかけて話をする。今日の行き先は私と同じ穂高岳山荘らしい。よし💪この人達について行こう! (魔物を蹴散らしてくれ〜) そう思って後を必死について行くが🏃♂️ 登るスピードが超速い。 ダメだ〜 (ちょっと待て、落ち着こうじゃないか?そんなに先を急いでも良い事はないぞ〜)とてもじゃないけどついていけね〜〜 また姿が見えなくなってしまった。(こいつらもダメだ〜)
姿はほとんど見えないが、上の方から話声は聞こえてくる。かなり余裕があるのか、冗談を交えながら時折笑い声も聞こえてくる。(少し腹が立ってきた)聞き耳を立てている訳では無いが、人の声が聞こえると何故か安心感がある。
頑張って登って行くと岩に書かれた案内が出てきた。
下から見上げると山小屋の姿も見えて来た。良し👍あと少しだ。もうかなり疲れてバテバテになっているので10m進んでは少し休憩して、また10m進むを繰り返してやっとたどり着いた〜
北穂高小屋に到着〜!着いたぞ〜
山小屋の裏がすぐに北穂高岳(3106m)の山頂になるので、写真だけ撮ってから昼食を兼ねて休憩する。北穂高の山小屋はメニューも豊富でテーブルに座って食事をされている方達を見ると、美味しそうなラーメンを食べている。
私も食べたくなったが持参している行動食を食べて荷物を軽くしないと、この後のルートがキツイ!
ガスボンベとシングルバーナーを使ってお湯を沸かしてインスタントラーメンとアルファー米で食事をする。(ここで周りを見て思ったが、食事は全て山小屋で食べるようにすれば、更に荷物の軽量化ができるのでは無いか?)
背負っている荷物は軽ければ軽い方が楽なので、次回からはそうしよう!と考えながら急いで食べる。休憩して体力も気力も少し回復してきた。進む先には険しく見える山がある。
これから進む道を確認すると、この先もかなり厳しそうな感じがする。ただ案内板を見ると奥穂高岳まで距離は2.3kmと書いてある!
よしもう少しだ!がんばろう!
ザックを背負って出発することにした。
ここまで読んでいただきありがとうございます😊
長くなってしまったので、この続きは次回に持ち越します。あとはラストのパート4 (出会い、そして新たなる希望)です。よかったらこの続きも読んでくださいね😄😄