「自分は大丈夫」と思い込む心理「正常性バイアス」とは何か?脳の危険なシステムとは
人間の脳には普段から些細な事に翻弄されないように、自然と心の平穏を保とうとする機能が備わっています。
これが備わっているおかげで、日常生活で何か問題に直面した時も、それなりに対応できる訳ですがこの力が、今回のような史上最強クラスの台風が近づいてきた時や、歴史上最大規模の大地震が発生した時にも、この脳の働きが過剰反応してしまい処理できなくなってしまうことを「正常性バイアス」と呼びます。
この「正常性バイアス」は最近では話題に上がるこが多い人間の心理ですが、非常に危ないことも含んでいます。
正常性バイアスとは?
「正常性バイアス」とは心理学で使う用語です。
人間は予期しない事態に遭遇した時に「ありえない」と言う先入観や偏見(バイアス)が働き、「今、起こっている物事を正常の範囲内である」と自動的に認識する心に作用する働き(メカニズム)のことを指します。
何か起こる度に心や脳が反応してしまっていると、精神的に疲れてしまうので、人間にはそのようなストレスを回避するために自動的に脳が働き「心の平安を守る」作用が備わっているのです。
この自己防衛作用とも呼べる働きを「正常性バイアス」と呼びます。
しかし、災害時や大震災の時などに、この自己防衛作用でもある「正常性バイアス」が度を超えて働いてしまうと、深刻な状況に陥ってしまう事があります。
逃げ遅れの心理「正常性バイアス」の恐ろしさ
一刻も早くその場から逃げなければならない非常事態にも関わらず、脳の防御作用(正常性バイアス)の働きにより、その認識が妨げられて命の危険にさらされる事態を招いてしまうかもしれないのです。
甚大な被害を受けた「東日本大震災」においは「大震災の混乱もあり、すぐに避難出来なかった」「あれほどの巨大な津波が来るとは思わなかった」と思った人達が多くいらした事が後の調査によって明らかになりました。
大型防潮堤があるから大丈夫だろう、また10mを超える津波を経験した事が無い、など、様々な要因があって直ぐに行動できなかった事も事実だと思いますが、緊急事態下で的確な行動ができるかどうかは「正常性バイアス」の働き方によって明暗を分けてしまう事も確かにあるのです。
御嶽山の噴火の際にも同じような心理が働いた可能性があり、火山の噴火という非常に危険な状況にも関わらず「大丈夫だろう」(=正常性バイアス)という心理が働いて噴煙が立ち上る様子を動画撮影していて逃げ遅れた人も少なくなかったと言われています。
このように「正常性バイアス」は予想以上の大きな力で人々の行動を制限してしまいます。
ほとんどの人が災害時には茫然としてしまう!ではどうしたら良いのか?
では私達は、いざと言う時にどのようにすれば良いのでしょう?
突発的な災害や事故にあった時には、事態の状況を判断できずにほとんどの人が茫然としてしまう。と言われています。
こういう時こそ必要なのが「落ち着いて行動する」事です。
ただ普段何もしていないのに、緊急事態に落ち着いて行動しろ、と言われても無理なので重要なのは「訓練」をすることです。
訓練を重ねる事で、いざと言う時に「落ち着いて行動」することができるようになります。
非常事態の際に「正常性バイアス」に脳を支配されないように、本当に危険なのは何か?どのような行動をすれば命を守れるのか?を見極める判断力を養っておきましょう。
ちなみに私は、登山をするのですが標高の高い山にも登りますので危険な場所も少なからずありますが、自然が相手だと予想外の事がよく起こります。始めのうちは突発的な出来事に「どうすれば良いのか判断がつかない」時があったのですが、経験を積んでいく内にある程度は「落ち着いて判断する」ことができるようになってきました。
これもまた「訓練」の内に入るのかもしれません。
災害時に役に立つのかは、分かりませんが何も無いサバイバルのような状況でも数日間は生き延びれる気はします。
普段から何か身につけておく経験も必要だと感じました。
今回の台風19号で被害に遭われた方々に心からお悔やみ申し上げます。