前回からの続き
カクテルのベースとなる主な蒸留酒
⑴ Gin(ジン)
17世紀、オランダ人医師が熱病の薬としてジュニパーベリー(西洋ねずの実)をアルコールに浸したのが発症。穀物を原料とし、ジュニパーベリーで香りずけをしていることが定義とされ、現在は風味が良くキレのあるロンドンタイプが主流
⑵ Vodka(ウオッカ)
トウモロコシ、大麦、ジャガイモなどの穀物を原料とし、白樺の活性炭でろ過処理することが定義とされる
ろ過処理によりクセのない味わいが楽しめる
⑶ Rum(ラム)
⑷ Tequila(テキーラ)
メキシコ原産。竜舌蘭が原料の蒸留酒を「メスカル」とよぶが、中でもアガペ・アスール・テキラーナという種類を使い特定の地域で生産され、厳しい基準を満たしたものだけが「テキーラ」と名乗れる
ドン・フリオレポサド・バトロンシルバー・テキーラサウザシルバーなど
⑸Whisky(ウイスキー)
大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料にした蒸留酒で、木樽で熟成させる。大麦麦芽(モルト)だけを原料に長期熟成させた「モルトウイスキー」、他の材料も使った「グレーンウイスキー」がある。カクテルのベースには多種のウイスキーをブレンドした「ブレンデットウイスキー」が使われることが多い
⑹Single Malt Whisky(シングルモルトウイスキー)
モルトウイスキーの中でも、単一の蒸留所の原酒で作られたウイスキー。希少性が高く、味の個性が出やすいため、カクテルよりもウイスキー単体で飲まれることが多い
⑺Branndy(ブランデー)
フルーツを発酵させ、蒸留した酒。単に「ブランデー」という場合は、ブドウ原料のワインを蒸留させたもの。コニャックもブランデーの一種でフランス・コニャック地方の特定地域で作られたものだけが名乗れる
カミューVSOP・カルヴァドスヴラーグランソラージュなど(アップルブランデー。フランス・ノルマンディー地方で作られたものだけがカルヴァドスを名乗れる)
これらのベースがさまざまなカクテルに変化してゆく
ショートカクテル
ショート・タイムカクテルの略 ー カクテルグラスで供されることが多い。アルコール度数は高く、分量は少ない。氷が入っておらずぬるくなりやすいので、あまり時間をかけずに飲むほうが良い
ロングカクテル
ロングタイム・カクテルの略 ー タンブラーなどで供される。アルコール度数は低めで分量が多い。氷が入るので美味しさが長持ちする。ホットカクテルもロングカクテルに分類される
ワンポイント
つまり、飲んでいる時間の長さがショートとロングの違いになる
スタンダードカクテル
古いカクテルブックに掲載されて今日まで飲み継がれて、名前とレシピが定番になったカクテル。どのBarでも味わえる。
代表的なスタンダードカクテル
ジン・トニック(爽やかな味わいで1杯目によく飲まれる)\マティーニ(カクテルの王様。辛口の味わい)\マンハッタン(カクテルの女王と呼ばれている)\サイドカー(ブランデーベースで柑橘風味)\モスコ・ミュール(銅マグで飲むウォッカベースのカクテル)\グラスホッパー(生クリームを使ったデザートのような甘味のカクテル)
オリジナルカクテル
各Barにいるバーテンダーが創作するカクテル。自分が作ったカクテルが定番カクテルになることがバーテンダーの夢
なぜ、酒を飲む場所をBar(バー)というのだろうか?
19世紀 アメリカの西部開拓時代
店主が樽から酒を量り売りする『サルーン』という酒場があったが、勝手に樽から酒をくむ客が絶えないため店主と客の間に横木(バー)を渡して仕切ったのが語源だと言われている
そして、時代と共に、この横木がカウンターへと変化していった
1930年 ロンドンの名門ホテル『ザ・サヴォイ』のチーフ・バーテンダーであるハリー・クラドックが世界中のカクテルを1冊の本にまとめた『サヴォイ・カクテルブック』を刊行
アースティックな装丁も相まって人気を博し、現在もバーテンダーの教科書になっている