ではいまから、世界でもっとも注目を集めている7つのプロジェクトを見ていきましょう。
#01 NFTを盛り上げるヒットメーカー
Dapper Labs(ダッパーラボ)
本社 バンクーバー(カナダ)
創業年 2018年
時価総額 75億ドル(約8500億円)
プロダクト 『NBAトップショット』『クリプトキティーズ』
デジタルコンテンツの所有権を売買できるのがNFT(ノンファンジブルトークン)です。
そこで、多くの人を魅了するNFTを創り出しているのがダッパーラボです。
その時価総額は約8600億円ほどになっています。
もともとダッパーラボが有名になったのは、2018年にリリースした「クリプトキティーズ」という暗号資産を使ったゲームでした。これはデジタルの猫たちを育てて、猫たちを交配したり、売り買いするものでした。
一つ一つのデジタル猫はブロックチェーン上に記録されておりコピー不能な存在として流通し、高いものは1000万円以上の値がついて話題になりました。
そんなダッパーラボが2021年に放ったのが、米国バスケットボールのNBAで活躍するプロバスケットボール選手たちによる名場面の動画を、NFTで販売する『NBAトップショット』でした。
これは100万人以上のユーザー達を魅了して、すでに総額で600億円以上の資産が売買されている、NFTの大ヒットコンテンツとなっています。
多くの人の所有欲を掻き立てるような、魅力的なコンテンツをこれからも生み出すはずです。
#02 毎日100万人以上が集う『稼げるポケモン』
Sky Mavis(スカイメイビス)
本社 ベトナム
創業年 2018年
時価総額 30億ドル(約3400億円)
プロダクト NFTゲーム 『アクシーインフィニティ』
2021年に世界中で話題をさらったのが、仮想空間で遊んで(働いて)、金銭を稼ぐという仕組みをかわいいアバターを使ったオンラインゲームで実現した『アクシー・インフィニティ』です。
全世界で180万人ほどのプレイヤーが参加しており、ブロックチェーンをインフラとして使うことで、1000億円以上の金銭がやり取りされています。
アクシー・インフィニティを開発したのは、ベトナムを拠点にしたブロックチェーンゲーム開発会社のスカイメイビスです。
創業メンバー達は「仕事とゲームの境界線はあいまいになる」という仮説を持っており、ヴァーチャルな世界で遊んだり、仕事することでさまざまな対価を得られる仕組みを実現しています。
このゲームは新型コロナによるパンデミックによって、仕事を失った東南アジアの人々に一気に広まりました。
#03 魅力ある文章を資産化できる『未来のブログサービス』
Mirror.xyz(ミラー)
本社 サンフランシスコ(米国)
創業年 2020年
時価総額 1億ドル(約115億円)
プロダクト ブログサービス『ミラー』
多くの人が文章を書いて、有料課金することができるブログサービスというのは、すでに世の中にたくさんあります。
米国のミディアムから、日本ではノートがそうしたサービスにあたる。
しかし、Web3.0の世界においては、作家たちは文章コンテンツ所有権をサポーターたちとシェアしたり売り買いできる。
ミラーはブロックチェーン上でそうした「未来のブログサービス」を発表した会社です。シリコンバレーのベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツで活躍した投資家が、文章の知的財産をなめらかに流通させるサービスとして開発しました。
すでに、Web3.0や暗号資産などの情報発信をするライターたちが続々と集まってきており、2000人以上の筆者がコンテンツを作っています。
この仕組みを使えば、これから作家は自分に共感するサポーターとコンテンツを共有して拡大することもできるようになります。
#04 データで捜索する『レゴブロック』
Loot for Adventurers (ルート)
本社 米国
創業年 2020年
時価総額 約2億ドル(約230億円)
プロダクト Loot for Adventurers
2021年9月、かつて短尺動画で一世を風靡したVine(ヴァイン)の創業者ドム・ホフマンがWeb3.0の世界で発明したサービスです。
ルートは英語で「戦利品」という意味ですが、まったく新しい形でクリエイターの心を刺激しています。
ルートがユーザーに提供するのは、想像力をかき立てる文字列だけ。
具体的には探検家が身につけるような、武器や防具といったアイテム一式(8個)の名前をセットにして、デジタル資産のNFTとしてユーザーに与えてくれます。
そうして二次創作したコンテンツを、またNFTとして流通させるのです。
ルートは「データのレゴブロック」のようなもの、そこから庭園を作ろうが、都市を作ろうが、人気キャラクターを創ろうが、すべてユーザーの想像力次第。そ
それをデジタル資産にできる点が、革命的だったのです。
#05 暗号資産の「アリペイ」を目指すカリスマ起業家
Terra(テラ)
本社 ソウル(韓国)
創業年 2018年
時価総額 210億ドル(2.4兆円)テラトークンの時価総額
プロダクト 『Anchor(貯蓄レンディング)』『CHAI(モバイル決済)』など
テラはいま、要注目の分散型金融サービスの一つです。
目指しているのは、暗号資産の「アリペイ」です。暗号資産を使って決済、送金、資産運用までおこなえる、ワンストップサービスを開発しています。
韓国出身の創業者は常々、未来のお金を創るにはビットコインでは不十分だと感じていました。
なぜなら、価格の乱高下が激しく、日常生活でコーヒーやパンを買ったり、地道にコツコツ資産運用することが難しいからです。
そこで開発したCHAI(チャイ)というサービスは、暗号資産をクレジットサービスのように日常使いできる決済サービスです。
韓国では取扱店舗も増えており、すでにユーザーは250万人を超えたと言われています。
裏側では暗号資産を、米ドルや韓国ウォンのような決定通貨と、ある特定のレートでつなぎ止めるよう自動調整しています。これをスティーブルコインと言いますが、リアルな社会で暗号資産が使われるため、大きなイノベーションを起こしています。
#06 コミュニティが運営する『未来の組織』の大実験
Constitution DAO(コンスティテューション・ダオ)
本社 不明
創業年 2021年
時価総額 不明
プロダクト 『コンスティテューション・ダオ』
2021年11月18日、アメリカ合衆国憲法の原本が、オークションにて約50億円という値付けで落札されました。
この歴史ある書物の競売について、その値札と同じくらい話題になったのが、暗号資産を使ってオークションに参加した「コンスティテューション・ダオ」です。
このコンスティテューション・ダオは、この憲法の原本を競り落とそうという、同じ目的を持つ人たちによる共同プロジェクトです。
創業者やCEOはおらず、このプロジェクトに参加した人たちが、金額に応じて意思決定を左右する投票権を持ちます。
もし、原本を競り落とせたら、どんな美術館に貸し出そうか、どこに保管すればいいかーー
そうした意思決定はすべてブロックチェーン上で管理されたコミュニティ参加者の投票により決まります。
今回はオークションをネタにした一発企画にも関わらず数十億円が集まりました。
そして、コミュニティで運営するダオ(分散型組織)の象徴的なケースとして、今後もプロジェクトが生まれる予兆となったのです。
#07 暗号資産の『中央銀行』をつくるという野望
Olympus DAO(オリンパス・ダオ)
本社 不明
創業年 2021年
時価総額 10億ドル(約1150億円)OHMトークンの時価総額
プロダクト 『オリンパスDAO』『OHMトークン』
このプロジェクトの創業者は、まだ匿名のままです。自らをゼウスと名乗っている人物が、仮想通貨の世界における「中央銀行」のようなシステムを揚げて2021年にリリースしました。
仮想通貨の世界は、本当の意味でまだ自立していません。ドルや円といった法定通貨の価値を担保にした、ステーブルコインという暗号資産がありますが、いわば国家や政府がコントロールしている仕組みに、暗号資産が依存し続けているのです。
これを不服として生まれたのが、この野心的なオリンパス・ダオです。
このラディカルな思想に賛同した人たちが集まっており、未成熟なプロジェクトではありますが、Web3.0の可能性を感じさせてくれます。
Web3.0の変化スピードは速く、毎日雨後の竹の子のようにワクワクするプロジェクトが立ち上げられています。
この他にもまだまだたくさんのサービスが存在していて、そこには玉石混交の世界が広がっていますが、インターネットの世代交代は滅多に起こることではないので、ぜひみなさんもご自分で調べてみてはいかがでしょうか!