日本の会社員の平均給与は過去10年間ほぼ上がっていない!
日本経済は低成長と停滞が続いていた所に、2020年新型コロナウィルスがパンデミックを起こしたために世界経済を含めて、日本の経済も落ち込んだ。
今もなを新型コロナウィルスの変異株(オミクロン株)の感染拡大が懸念されているが、一方でデジタル化の発展という目線で考えれば、コロナ禍によってこの2年余りで急速な発展を遂げた。
それにより、一部の業種や職種ではひく手あまたの人材も多くいる。
成長産業と衰退産業の格差による賃金格差も開いている。
さらに、今後、能力主義の浸透やジョブ型雇用の導入などにより、同じ企業に勤める人の間でも給料格差が広がって行きそうである。
では、給料が年々上がる人とそうでは無い人の差は何か?
それは、今までやってきたことによる経験とそこから得たスキルによるものなのか?
そのような事を、分析しているデータがあったので、みなさんと共に考察の旅へ出発していきたいと思う!
買われる『経験』
業種別の「給料が上がる人の経験データ」によると、すべての業種においてのキーワード
『チームワーク』『褒め』『付加価値』『誘導』『兼任』といったワードが浮かび上がってくる。
それを、業種別で見ていこう!
IT・通信
給料アップを実現してきた人がしてきた「経験」
1位 管轄
2位 兼任 👈 Point
3位 模索
4位 開示 👈 Point
5位 コスト削減
6位 就任
7位 モニタリング
8位 昇進
9位 安定化
10位 プランニング
まずは『IT・通信業界』から見ていこう。
この業界で給与を上げることに寄与する経験のキーワードは、1位「管轄」2位「兼任」3位「模索」となっている。
これらのデータから読み取れるのは、IT・通信業界では『マネジメント』ができるかどうかが、極めて重要なファクター(要素)であると思われる。
もう少し掘り下げて見ていくと、「IT・通信業界では管轄するプロジェクトの単位が細分化されていて、その単位の数だけ責任者が多い業種」なのかもしれない。
例えば、4位の「開示」は、「何かのドキュメントを開示することによって、チームワークを円滑にした仕組みを作って、それを誰もが使えるように平準化した環境を作った」ということかもしれない。
これらは社内での「見える化」の発想に近い。
業界により多少の差はあると思うが、「開示」や「見える化」に近い経験を意味していそうである。
これは、情報を共有したり、メンバーが働きやすい環境を整えたり、適切なアドバイスができる人が昇進し、その結果として給与を上げていることが分かる。
あと注目すべきは2位の「兼任」というキーワードで、これは「個人が積極的に、転職時にも職務履歴書に書くことができるような経験を取りに行かないと、給与は上がりにくい」ことが想像できる。
メーカー (機械・電気)
給与アップを実現した人がしてきた「経験」
1位 褒め👈Point
2位 任命
3位 誘導👈Point
4位 人事評価
5位 ビジネスモデル
6位 組織
7位 予測👈Point
8位 創出
9位 付加価値
10位 数値
次は、「メーカー(機械・電気)」の給与アップを決める因子となるキーワードを見ていこう。
1位が「褒め」、2位が「任命」、3位が「誘導」になっている。
これは「かつてのような命令型ではなく、メンバーを「褒める」ことで元気づける上司が評価されている」ことが予想されます。
とりわけメーカーは、商社や広告、IT企業などのクライアントが主体の業種に比べて、社外からの感謝や評価されるなどの機会が少なく、その分社内での積極的に褒める「マネジメント」が要求されるのだと思われます。
また、7位の「予測」8位の「創出」は、メーカーで評価される人の重要なファクター(要素)です。
メーカーでは、春夏モデル・秋冬モデルといった商品開発のルーティーンの枠組みがある中で、いかに適切に市場の需要を『予測』し、新しい価値を『創出』できるかが求められるからです。
商社
給与アップを実現した人がしてきた「経験」
1位 シミレーション
2位 問題解決👈Point
3位 ビジネスモデル
4位 経営戦略👈Point
5位 工数
6位 まとめる
7位 事業戦略👈Point
8位 適正化
9位 組織
10位 問題
次は、商社で高いグレードに就いた人の因子となるキーワードの分析になる。
上位の4つ、1位「シミレーション」2位「問題解決」3位「ビジネスモデル」4位「経営戦略」は今の商社のビジネスで求められている役割を象徴している。
1位から10位までのランクの中で、「戦略」というワードが2つ登場している。
商社では資源の採掘権を取得し、その実行を担うといった顕在化したニーズに応えることに加えて、昨今ではサプライチェーン(物流用語で供給連鎖)やマーケットプレース(電子市場のこと)のDX(デジタルトランスフォメーション)を推進したり、サブスプクリプション型のビジネスを構築するといった顧客の課題を見つけ出し、それに応じた一手を打って事業を行う仕事が増えてきている。
上位にランクインしたキーワードからも見て取れるように、商社ではそうした潜在的なニーズを「予想」し次の事業を起こせる人材が評価されるのだと考えられる。
金融
給与アップを実現した人がしてきた『経験』
1位 安定化
2位 予想👈Point
3位 指揮👈Point
4位 マネジメント
5位 人事考課👈Point
6位 経営戦略
7位 設計
8位 人員
9位 優先
10位 問題解決
次は金融業界を見ていこう、1位は「安定」2位「予想」3位「指揮」4位「マネジメント」となっているが、いうまでもなく金融は資金や証券の受け渡しを行う決済機能がメイン業務にあたるため、システムや経営上のリスクを回避し、金融機能を安定化させることが重要な役割になる。
そのためには、「リスクマネジメント」の観点を持ち、最悪の事態も「予想」し、場合によっては適切な「指揮」が取れる人材が評価されるのだろう。
「人事考課」というワードが5位にランクインしているが、これは金融業界では人事権を持つことがいかに重要なファクター(要素)であることが窺い知れる。
インターネット・広告・メディア
給与アップを実現した人がしてきた「経験」
1位 チームワーク👈Point
2位 褒め
3位 人件費
4位 優先
5位 リプレース👈Point
6位 誘導
7位 管轄
8位 巻き込み👈Point
9位 優先順位
10位 人事考課
インターネット・広告・メディア業界でも「チームワーク」がキーファクター(重要な要素)になっている。
広告会社の人間は、クライアントに社内の別働部隊に、そしてアイアランス(企業間の同盟)先など、巻き込む人数が桁外れに多く、そのチーム運営ができる人が大きなプロジェクトを任され、昇進していくのだろう。
だからこそ、6位「誘導」や8位「巻き込み」といった要素が重視されるのだと思われます。
メーカーが作る製品やサービスは、予めポートフェリオやある程度の型(パターン)があるのに対して、広告やインターネットメディアが作るサービスは、ターゲット層も表現方法も、規定のものは何もありません。
だからこそ「優先順位」付けが重要であり、それが何かをリプレース(新しく交換する、置き換える)することなのだと読み取れます。
公社・官公庁・学校・研究施設
給与アップを実現した人がしてきた「経験」
1位 付加価値👈Point
2位 参画👈Point
3位 トレーニング
4位 業務効率化👈Point
5位 模索
6位 数値
7位 信頼
8位 アドバイス
9位 予測
10位 ターゲット
最後は、「公社・官公庁・学校・研究施設」でグレードが高い人のワードについて見たいこう。
1位は「付加価値」という、明らかに他の業界とは違った異彩を放っている。
公社や官公庁は取り扱う問題や、課題の対象やその範囲が大きい。だからこそ、その改善に関わり「付加価値」を出すことがキーファクター(重要な要素)なのでは無いだろうか。
そして、関わったことを言い換えた表現が2位の「参画」というキーワードになると考えられる。
7位にランクインしている「信頼」というワードも、公の業界で求められる役割を表していると思われる。
公の仕事は、サービスの受け手である国民や仲間との信頼関係が基本であり、それがある前提のもとで、周囲の人と合意形成し「業務効率化」や「コスト削減」を実現していける人が評価の対象となるのだろう。
結論として
ここまで、様々な業界の違いはあれ、昇進を重ね給与を上げた人は、どのような経験を積んできたのか考察してきたが、このデータから得られる教訓とは主に以下の3つになる。
1・人を「褒め」て「巻き込む」リーダーシップ
2・「兼務」などの「経験」を自ら取りに行く姿勢
3・サスティナビリティ(継続性)の高い仕事の進め方、働き方を意識
人をやる気にさせて、最大限の力を発揮してもらうマネージメント力や、リーダーシップが業界を超えた「価値」であることは間違いなさそうである。