100年に1度の変革期にある自動車産業
地球規模の潮流である脱炭素に向かって舵を切った全世界の国々。
この流れはもう止まらない。
自動車産業の各社は脱炭素の対応に追われ、次々とEVシフトを鮮明にしているが、それとは別に、もう一つの大変革も同時に進んでいる、それが車の『ソフトウェア化』である。
これまで、自動車の競争力を決めていたのは燃費性能や走行性能といったハード面だったが、自動運転技術の進歩や、それに付随したサービスの登場により、自動車の『付加価値』の大半は『ソフトウェア』に移行しつつある。
このパラダイムシフトを見越して、GoogieやAppleなどの、世界中のテック企業が自動車業界に参入し始めている。
日本における自動車業界は、国の基幹産業にあたるがゆえに、完全にこの流れに乗り遅れてしまう訳にはいかない。
こうした中、世界に誇る日本の企業であるトヨタ自動車はどのように生き残りを図るのか?
今回は、このテーマについて考察してみよう!
目次
・ソフトウェアの時代
・Googleはなぜ成功したのか?
・Google、Apple、そしてTesla
・トヨタは変われるのか?
ソフトウェアの時代が始まった
自動車のハードの価値が相対的に下がり、ソフトウェアの価値が高まる中、トヨタが掲げるのが『ソフトウェア・ファースト』の車作りである。
これまで、トヨタはまず車のハード面を緻密に作り込み、完成した車にソフトウェアを『後付け』してきた。
しかしこのプロセスを逆にし、これからはソフトウェアの開発を先行させるのだという。
この『ソフトウェア・ファースト』の真意とは何か?
EVシフトが進んだ未来の市場では、車を購入する消費者は車のハード面以上にソフトウェアを重視するようになるという。
では、ソフトウェア・ファーストで作られた車とは、どのような物なのだろうか?
端的な説明だと、異なるハードウェア上でソフトウェアを再利用できることを意味している。
イメージしやすいのがスマホのOSのアップデートかもしれない、スマホのハード面であるデバイスの数がどれだけ多くてもアップデートは短時間で同時に行える、つまり何百万、何千万台の車があってもほぼ同時にソフトウェアのアップデートは完了する。
同じソフトを異なる車両で使えたり(デバイス同士が同期するイメージに近い)将来アップデートして使ったりする状態になる。
Googleはなぜ成功したのか?
ソフトウェアを先に設計し、それに合わせた車づくりを行う
これは、パソコンやススマートフォンの業界で起きた大きな変化ににているという。
かつては、どの携帯電話メーカーも機種ごとに独自のOSやソフトウェアを作っていて、その多くは限られたハードウェアでしか動作しないものでした。
このため、消費者が使える機能の選択肢は狭まり、何の『付加価値』も産んでいなかった。
ところが、Googleのアンドロイドがこの状況を一変させてしまった。
これらは異なるハードウェア上でも使うことができる共通のOSで、アップグレードすればハードを買い替えることなく新しい体験価値を生み出す。
ではGoogleはなぜ、業界を一変させるOSを作れたのだろうか?
理由は3つある
1つ目は投資
OSや、ソフトウェア開発のプラットフォームを構築するのには膨大な時間がかかる。
その上すぐに見返りが期待できる訳ではない。
にもかかわらず、Googleはこの領域に莫大な投資をする決断をした。
これが、後に大きな見返りとして帰ってきたいる。
2つ目は人材
アンドロイドOSを構築し、アプリ設計者にとってそのOS上で開発するのが苦にならないようにするには熟練した、一流のエンジニアが必要になる。
このコミットメントとリソースの投下が成功に結びついている。
3つ目は規模な拡大
OSやプラットフォームがアプリ開発者やユーザーからの支持を得るためには、ある程度の規模が必要になってくる。
どちらが先かは議論が分かれるが、プラットフォームの成長とユーザーの増加が同時に進むようなイメージになる。
自動車業界でも、ガラケーからスマートフォンに変わったような変化が起きるのだろうか?
自動車とスマホに搭載されているアプリとは、別の世界だという。
スマホのアプリにバグがあってもブラウザーやスマホがクラッシュするだけで、使っている人の安全にはあまり影響がない。
一方で、もしも自動車のソフトにバグなどの不具合が出れば、乗っている人の命に直結してしまいかねない。自動車はスマホとは別次元でソフトウェアの規律が必要になってくる。
まだ大手自動車メーカーで、ソフトウェア・ファーストを成功させているメーカーは無い。
Google、Apple、そしてTesla
GoogleやAppleなど、異業種からの参入も相次いでいます。彼らは自動車メーカーと違って、はじめからソフトウェア・ファーストなので、トヨタにとっては不利な戦いを強いられることが予想される。
競争が激しくなっているのは確かですが、この動は業界にとっては歓迎すべきかもしれない。
どの業界でもそうだが、イノベーションは競争があるところでこそ生まれる。
そして、イノベーションによって消費者が利益を得ることになる。
どの参入企業にも、言えることではあるが自動車用のソフトウェアとスマホ用のソフトウェアは、違うといういこである。
EVの先駆者である、Teslaはハードもソフトも内製にこだわり世界中にファンを獲得している。
Teslaの功績は自動車産業に変化をもたらしている。
Teslaは最初からソフトウェア・ファーストのアプローチを取り、モデル数も非常に少なくして、EVに特快sている。すべてがシンプルである。
しかし、現状ではEVメーカーのEV車は莫大な補助金がないと顧客のニーズを満たせないでいる。
トヨタは、世界中の多様なニーズを持つ消費者に応えようとしている。世界中で街一番の自動車メーカーになることを追求している。
トヨタは変われるのか
トヨタのような規模の大企業がすぐに変わることは、正直かなり難しいと思うが、今までに培ってきたトヨタイズムを継承しながら、変われるところから変化していきことはできると思う。
現在、豊田社長自らが先頭に立って各部門の有志と協力して、部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するチームを立ち上げている。
Keyword👉トヨタ生産方式
トヨタの生産現場に導入されてる運用方式ムリ、ムラ、ムダを省くことを重視していて工場では在庫を抱えすぐない「ジャスト・イン・タイム」や機械に人間の知恵を組み込む「ニンベンのついた自動化」が実践されている。
これまでの、自動車の競争力の源泉はほとんどハードだったと言える。燃費や乗り心地、コスパが良い車が市場で受け入れられてきた。
どんなOSを搭載しているのか、ソフトウェアがどんな「付加価値」をもたらすかを意識していた消費者はほとんどいませんでした。
ただ、自動運転の実現が近づき、OSやソフトウェアの性能の差が車の優劣に直結する時代がもうすぐそこまでやってきている。
豊田社長の言う「未来は不確実だが、それに向けて今日行動することはできる」という言葉を胸に飛躍していっていただきたい。
自動車産業に限らず、すべての業界に当てはまる事ですが、イノベーションを起こさなければ未来ではどんな大企業であっても存在感を示すことはできなくなる。
そのためには、常に投資をし、日々学び続けるしか道は残されていないと思います。