なぜ50代からの転職は困難を極めるのか?
転職市場で最も求められる人材は「実績」も「伸びしろ」も見えやすい30代〜40代。
では、20代や50代以上の人材を企業はどのように捉えているのだろうか?
3000人以上の転職データから見えくる傾向がある
50代を過ぎると「能力があっても転職」できない理由を考察してみよう!
今や、転職は若い人たちだけのものではい。「70歳定年法」によってシニア層に対する企業の追い出しが加速することを考えると、役職定年を迎える「40〜50代」定年後の再就職を目指す60歳以降の人にも関わってくる。
転職市場の現状を知っておくことが「定年格差」を乗り越えるためには必要である。
昨今では、転職市場は「売り手市場」言われてきた。少子高齢化で生産年齢人口が減り続け、慢性的な人手不足を抱えている。しかし、コロナ禍がその状況を変えた。
観光、飲食、インバウンドなどをはじめとした多くの産業が売上、利益を減らし、当然のように採用を減らしている。
調査会社の調べによると、2020年の転職者数は約319万人、前年に比べて10%以上減っている。
もっとも、コロナのワクチン接種が始まった2021年以降は回復基調に転じている。
この背景にあるのは、コロナ禍の収束を見越した人材の確保にある。
これから始まる良い人材の取り合いを早い段階で制してしまおうというものである。
また、テレワークが増えたことで転職がしやすくなったことも影響していると思われる。
30代ほど転職しやすい理由
しかし、転職しやすくなっているとはいえ、中高年層を見てみると違う景色が見えてくる。
まず、20代は転職案件は意外に少ない、これは社会に出てまだこれといった実績を出せていない、若年層はさほど重視されていないと考えられる。つまりこれからの伸び代によって判断される。
30代はどうか?40代と合わせてこの年代層が、最も転職市場で人気が高い。
なぜか?30代、40代は「即戦力である」ことに尽きる。
最近では、OJT(On-the-jobTrainingの略で、職場での実践を通じて業務知識を身に着けて行く教育手法)も丁寧にして若手を育てる企業も減っている。
そこにかける時間もコストもないからである。
だから、企業としてはとにかく即戦力が欲しい。
30代、40代ならばすでに前職で、どれくらいの実績を上げているかがわかる。
スキルや知識も十分に得ているだろうし、30代ならばまだ若さも残っている。
体力、知力、挑戦欲も強いため、持っている力を発揮しやすい。だからこそこの年代は転職市場で最も人気が高いのである。
では、50代、60代はどうか?
残念ながら、この年代の需要はほとんどといって良いほど残っていない。
50代を過ぎたビジネスパーソンで、素晴らしい実績を残されてきた方も多いと思う。
スキルも実績も、申し分がない方も多いだろう。しかし逆にいうと「完成され過ぎている」とも言える。
人は45歳を過ぎると体力、気力、挑戦欲が急激に減ってくる。
人によって個体差はあれど、時間の経過とともに「自然定年」とも呼ぶべき状況が必ず訪れる。
50代ともなれば、いくら素晴らしい実績を残していても伸び代はほとんど残っていない。
いつまでも、実践の場で最前線に立てるだけの強度はもやは残っていない。
プロのアスリート達を見れば良くわかる。
彼ら、彼女らは生まれつき持っていた類まれなる身体能力をさらに、尋常ではないトレーニング強度により極限まで高めた状態で戦っている。
超高強度の肉体と知力を兼ね備えている。そんな人達でさえ40歳を過ぎれば、能力は極端に低下してゆく。
あのイチロー選手でさえ、45歳で引退したのは示唆的である。
イチロー選手はスキルも実績も申し分ない功績を残しているが、だからと言ってメジャーリーグや日本のプロ野球でいつまでも現役でいられるものではない。
人間は誰しも「自然定年」には抗えない。
あなたも、イチロー選手のように、それぞれの持ち場で素晴らしい実績を積み上げてきたのだとは思いますが、それがこれからも続くことは残念ながらないのです。
繰り返しのなりますが、企業が欲しい人材は、「若くて伸び代がある即戦力」なのです。
厳しいがこれが現実です。
この記事を書いている私も、50代半ばを超えたシニアです
世の中の厳しさはそれなりに経験してきていると感じています。
だからこそ、もう一度「学び直し」が必要だと強く思っています。
以前読んだ「脳科学」の本にこのようなことが書かれていました。
「脳は何歳からでも、鍛えることが可能である。脳には神経可塑性(シナプス(脳の中で伝達を司る神経組織)の信号伝達能力や形が、刺激の量によって変化・適用するもの)があるので
適切な刺激を与えることで発達が進む。
だからこそ、私たちは仕事人生の後半のキャリアを、自分で、自律的に作り上げてゆく必要がある。
人生100年時代と呼べれる世の中に突入している。
学び直すことで、開ける自分だけの未来を見てみようではありませんか?
ではまた、See you next time・・・