歴史を振り返ると、時代の要請に応じてさまざまなタイプのリーダーが出現してきた。
例えば社会不安を利用し、ナショナリズムによって民衆を扇動したリーダーは、枚挙にいとまがない。
一時は支持されるものの、その多くが戦争や差別などの禍根を残した。
このような歴史から、私たちは未来への教訓を学ぶことができる。
では、先行き不透明なこれからの時代に求められる知見とは何か?
目次
1・目先のノウハウに固執していないか?
2・環境を正確に認知する
3・タイタニック号で何をすべきか?
4・社会に主眼を置いた行動をとる
5・変化するか、淘汰されるか?
1・目先のノウハウに固執していないか?
我々はいま、「人間とは何か?」を考えなければならない時期に来ている。
情報の氾濫と言われて久しいですが、その勢いはますます強まっています。スマホを眺めているだけで良い記事が無料で読めて、あらゆる情報が簡単に手に入る。
現代人の多くは、膨大で実用的に見える情報やノウハウの全てを脳内の引き出しに入れ、まるでデータベースにでもなろうとしているかのようです。
しかしながら、そうすればするほど、むしろ取得していない情報が大量にあることを知り、不安が増すばかりでは無いでしょうか?
こうした「不安」に振り回されないために必要となるのが、「人間とは何か?」という問いへの理解を深めることでは無いだろうか?そうすることでしか、不安への源泉と向き合うことはできないように思う。
様々なメディアに、膨大な記事と良質なコメントが多数掲載されています。
しかし、それをただ闇雲に読んでいくことが、自分にとっての「知」になるのでしょうか?
「知」を確かなものにするには、「自分にとって有益な情報は何か?」ではなく、そもそも「なぜ自分は、有益な情報を得ようと焦っているのか?」、そして「それは自分だけなのか?」を考えなければなりません。
煎じ詰めれば「人間とは何か?」を起点にする必要があると思います。
2・環境を正確に認知する
膨大な情報を確かな「知」にするためには、「人間とは何か?」に立ち返る必要がある。
お手軽な情報に触れても人生は良くはならない。かといって、情報を無視することもできません。それは競争からの離脱であり、いく末は貧困だからです。
他の生物がそうであるように、人間もまた厳しい競争環境の中で生きています。ですから生き残っていくためには、置かれた環境をより正確に認知する力が必要です。
例えば、農耕が開始されたことで人口が急速に増えました。一方で農耕を支える土地はそう簡単には増えないため、地価に対する人件費は低下します。
こうして農耕社会では、土地のような「簡単には増やせない、必需性の高い資源」を持つ者と、持たざる者の格差が広がりました。
そのため、農耕社会以降の人間は「簡単には増やせない、必需性の高い資源」への優先的なアクセスをめぐり争ってきました。
このゲーム構造自体は長らく変化していませんが、「必需性の高い資源」の中身は複雑に変化しています。この変化のトレンドを見失えば、ゲームに負けてしまします。
こうした、社会のゲームとそのルールが、人類誕生以前からAI時代にかけてどのように変化してきたのか、あるいは変化せずに残ってきたのかを見ていく必要があります。
3・タイタニック号で何をすべきか?
現代のリーダーに求められる「リーダー像」は環境によって異なるとされていますが、リーダーに求められる普遍的なことは何でしょうか?
リーダーに期待されているのは、ゲームのルールを理解し、変更や修正を加えていくことでルールによって生じる不幸を減らすことです。
社会レベルでの学習を主導するともいえるでしょう。
ただし、リーダーが社会的な期待に応えようと行動するのは、実際には稀かもしれません。
よく語られる例ですが、現代社会は「沈みゆくタイタニック号」のようなものです。
タイタニック号の船底には大きな穴が開いている。多くの人は危機を察知し、慌てて救命ボートへ走っています。
こうした状況でリーダーに求められるのは、我先に逃げようとする人々を説得して仲間とし、一緒に「船底の穴をふさぐ」「救命ボートを作ること」でしょう。
ちなみに、日本においての「船底の穴は」、いわゆる「高齢化問題」です。
日本は世界でもっとも高齢化している国です。2025年には、軽度認知障害の400万人を含め、認知症の人が1100万人にもなります。
日本では10人に1人、高齢者だけで言えば約3人に1人が認知症という社会が出現しようとしているのです。
私たちは、誰1人として介護と無縁ではいられなくなります。
タイタニック号での行動が、現実社会では何をすることに相当するのか、これを自分なりに理解するには、やはり歴史を理解する必要があります。
なぜなら、実は、社会というタイタニック号が沈むような状況は、歴史上で何度も繰り返されたからです。
そして、何が具体的な行動に相当するのか考えることは、リーダーを「選ぶ」人々にとっても重要な観点になります。
4・社会に主眼を置いた行動をとる
組織にとどまらず、社会レベルで変革の行動を起こすのは大きな責任を伴い、常に失敗の不安が拭えません。
しかし、私たちが認識しなければならないのは、真剣に戦うことを止めない限り、失敗にはならないということです。
もちろん、闘い続けるのは簡単なことではありません。しかし、闘い続けていれば仲間や賛同者が増えていくし、戦いが続けやすくもなります。
一方で、自分だけ助かろうとする人の周りに仲間や賛同者は集まらない。そうした人の周りにいるのは、共に進む仲間ではなく、同じように自分が逃げ切れればいいと考えている人たちです。
逃げる人はきっと孤独であり、たった一度きりの人生を、何かに怯えて生きていくことになります。
誰もが、社会というタイタニック号のあり方に大きく依存する運命から逃れられないのであれば、「船底の穴をふさぐ」「救命ボートを作る」ことを自分なりに定義し、自分だけではなく会に対して行動するリーダーになることが大切」です。
5・変化するか、淘汰されるか?
社会という「船底の穴」もまた、状況に応じて変化していきます。
生物は、変化についていけなくなった個体が淘汰されることで進化してきました。社会が変化する速度が上がる中、私たちも変化についていくことが絶対に必要になります。
とはいえ、それはとても疲れることです。なぜなら「生きる」とは、だた生命を維持するではないからです。
多くの人が、本来なら情報や変化に振り回されず、ただ一度きりの人生を、自分らしく、楽しみながら生きたいと願っているはずです。にもかかわらず「次は〇〇だ」とトレンドや流行を追うばかりの毎日には、虚しさを感じてしまいます。
情報に振り回されないためには、「誰かの意見」を探す前に、「自分なりの意見」を持つ必要があります。
それを可能にするのが、「人間はどこから来て、どこへ向かおうとしているのか」という人間の歴史を理解することです。
いずれにせよ、変化に適応するために私たちは古い何かをやめて、新しい何かを始めなくてはなりません。
しかし、そうした選択の中で「やめてはならないこと」が一つだけあります。
それは「学び続けること」です。
どのような方法でも構いませんが、可能ならば、楽しい方法であれば素晴らしいことですよね。そんな学びを探し続けたいと思います。
ではまた。See you next time・・・