登山 行蔵の雑談日記

山登りが趣味のおじさんです。自分が好きな事、気になった事を雑記でつぶやいています。

【読書感想】逢坂冬馬の小説『同志少女よ、敵を撃て』女性狙撃兵が極限状態の中、復讐の場で知った「本当の敵」とは

第166回直木賞候補作

史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
 
2022年本屋大賞を受賞した、小説「同志少女よ、敵を撃て」(著:逢坂冬馬)は、旧ソ連時代に実在した女性狙撃手を基にして描かれた物語です。
 
平和を愛した少女が、人の命を奪う狙撃兵へと変貌し、自らの復讐を果たすため、「絶滅戦争」と呼ばれた独ソ戦争に身を投じてゆく。
 
こんな人におすすめです。
ソ連時代に実在した女性狙撃兵という特異な存在の物語が気になる人
独ソ戦争や戦争ものの小説にあまり馴染みがない人
・デビュー作なのに受賞多数の話題の本を読んでみたい人
 
あらすじ・内容紹介

モスクワ近郊の小さな農村、イワノフスカヤ村に春が訪れた。

 

母と二人で狩猟をしながら、この村で過ごすセラフィマは十八歳。秋が来ればモスクワの大学に、村から初めて入学する予定だ。セラフィマは、ソヴィエト連邦とドイツの橋渡しを担う外交官になることを夢見ていた。

 

しかし突然、穏やかな日常と思い描いていた夢は奪われる。

村に迷い込んだドイツ兵たちに村人は惨殺され、セラフィマの母は狙撃兵に射殺される。直後に訪れたイリーナ率いるソ連赤軍は、ただ一人生き残ったセラフィマを救い出すが、村全体を焼き払う。セラフィマは母を撃ったドイツ人狙撃兵イェーガーと、母の遺体と村を焼いたイリーナの二人に激しい憎悪を持つ。

 

いつしか二人を殺して復讐を果たすことだけを生きる糧とし、セラフィマはイリーナが教官を努める、女性だけの狙撃兵訓練学校に身を寄せる。そこで、同じ境遇の少女たちと共に厳しい訓練を受け、一流の狙撃兵へと仕立てられてゆく。

 

地獄と化した戦場で同志が次々と命を落としていく中、セラフィマの復讐心はどこへと辿り着くのか。

 

「同志少女よ、敵を撃て」は実話を基にした、女性狙撃手が主人公の戦争小説

 

『同志少女よ、敵を撃て』に出てくる女性狙撃手の話は実話を基にしています。リュドミラ・パブリチェンコという女性スナイパーが実在し、彼女は第二次世界大戦においてなんと300人以上のナチス兵を倒したという逸話が残っています。

 

同じく女性狙撃手にスポットをあてた本として、『戦争は女の顔をしていない』(著:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)があります。

この作品は2015年にノーベル文学賞を受賞し、コミック化されて話題になりました。

 

「同志少女よ、敵を撃て」作者の逢坂冬馬さんは、「戦争は女の顔をしていない」やリュドミラ・パブリチェンコの回顧録を読み込み、よく取材して本作を書き上げたと語っています。

こういった背景があるからこそ、リアルで重みのある戦争小説が完成したといえるでしょう。

 

今を生きる環境をよく見定めて、格好とした信念で生きる姿勢を作者は主張しているように思えます。これから世界がどの様に変化してゆくか分からないにしても、自分の信じたものを貫いて生きて行きたいですね。

 

ではまた。See you next time・・・