未来の物語を描いたSF映画などで、度々登場することかある「冬眠装置」=コールドスリープはSF映画を見られた方なら一度は映画の中で目にしたことがあると思います。
2017年3月に公開された映画「パッセンジャー」では、宇宙船アヴァロン号は5000人以上の乗客を乗せ、新たな人類の居住地を目指して120年間の宇宙の旅に出ます。
乗客は出発前にそれぞれ「冬眠装置」に入り、薬や環境のコントロールによって活動を停止させます。100年以上もの宇宙の旅を冬眠することにより肉体的には4ヶ月ほどの旅にするのです。
現在、人類はこの映画のような惑星間移動ができる段階にはきていませんが、この映画の冬眠技術は現実にも研究されていることを元にしています。
NASAには、2030年台に火星に人類を派遣することを目指す「火星旅行」というプロジェクトがあり、そのミッションを遂行するためにも冬眠装置が必要になってくるのです。
なぜ、冬眠装置が必要なのでしょうか?
それには、さまざまな理由がありますが大きな理由の一つとして老化があると思います。
地球上で暮らしている私たち人類には、あまりピンと来ませんが宇宙はとてつもなく広大な空間です。
光の速度で進んだとしても、地球から比較的近くにある恒星にいくのに4〜5年くらいかかります。(光の速度もあまりピンと来ませんが、1秒間に地球を約7周半します。約秒速40万Kmです。とにかくとてつもなく速い)
未来のことはわかりませんが、遠い将来完成するであろう未来の宇宙船でも光の速度に近いスピードを出すには技術的進化が進んでも、あと何千年かあるいは何万年も先の話になるでしょう。
ということは、地球から比較的近くの惑星に行くにも物凄い時間が必要になります。
ところが、人間の寿命はそこまで長くはありませんので、別の惑星に到着するのが映画のように120年後だとしたら移動している間に寿命が尽きてしまいます。
そこで、冬眠状態にすることで老化を遅らせようとするのです。
この他にも冬眠することで得られるメリットは沢山あります。
まず食料を宇宙船に大量に積み込まなくてもよくなります。人間一人が通常に毎日起きて活動している時に必要な食料や水、衣類やその他の必要な物資は相当な量になると思われるので、これが数十人、数百人単位だと莫大な量になります。
宇宙船のスペースは限られていますし、搭載できる物量も限られているので冬眠状態で過ごす方が物資を載せるスペースの確保や居住スペースなどの面でもメリットが多いのです。
ただ、いくら冬眠状態で眠っているとはいえまったく生命活動をいていない訳ではないので、
少しずつ老化は進んでしまいます。
冬眠前は若くて生命力がある肉体が、目が覚めた冬眠後には年老いた肉体に変わっていたら、そのギャップに本人は耐えられないかもしれません。
今はまだ研究段階ですが、そのような色々な問題も今後の技術的進化が解決してくれるかも知れませんね。
あともう一つ、もし冬眠技術が進んだ未来なら若いうちに冬眠して100年後の未来で目を覚まして活躍する自分。なんてこともできるようになるのかも知れませんね。
ではまた。See you next time・・・